目次
- この記事で得られること
- まず知っておくこと: 無料枠は2026年6月に半減された
- 全体の流れ
- Step 1. アカウント登録
- Step 2. VCN(ネットワーク)を先に作る
- 注意: ウィザードを使わず進めると「パブリックIP割当て不可」になる
- Step 3. ARMインスタンス作成
- 「Out of capacity」が出たら
- Step 4. SSH接続
- まず「~」という記号を1つだけ覚えてください
- パブリックIPの確認場所
- 何回もコピペするので、事前に専用のコマンドを作る準備
- Step 5. ポート開放の基本 — 2段構えを理解する
- 次のステップ: ゲームサーバーを立てる
- 運用の心得: A1インスタンスは基本止めない
- 補章: PAYG化を検討する人へ — 課金条件と誤課金防止
- PAYG(Pay As You Go)へのアップグレード
- クレジットカードが拒否される
- 誤課金を構造的に防ぐ: クォータポリシー
- 予算アラート
Oracle CloudにはAlways Free(永久無料)枠があり、ゲームサーバーが実用レベルで動くARMマシンを月0円で持てます。
この記事は、当ブログの無料サーバー記事(Valheim・Minecraft Java版・Minecraft統合版BDS)の共通前提になる部分——つまり「SSHでログインできるUbuntuサーバーが手元にある状態」までを、1本にまとめたものです。Core Keeperの記事も順次公開します。
そもそもOracleって何? 怪しくないの? 怪しくないです。Oracle(オラクル)は1977年創業、データベースで世界シェア最大級の米国の老舗IT企業で、クラウドでもAmazon(AWS)・Microsoft(Azure)に続く大手の一角です。無料枠が太っ腹なのは、クラウド後発組として開発者にまず使ってもらうための投資であって、「無料で釣って勝手に請求」のような仕組みではありません(課金が始まるには、自分で明示的にアカウントをアップグレードする必要があります)。
結論を先に言うと——
- Oracle無料枠は2026年6月に半減されて 2 OCPU / 12GB(それでも大抵のゲームサーバーには十分)
- 最大の関門は技術ではなくインスタンス作成画面の罠。VCNを先に作る、それだけで大半を回避できます
- 無料登録でも本人確認用のカードが必要。PAYG化は課金可能なアカウントへ切り替える操作なので、巻末の誤課金防止策まで確認してください
この記事で得られること
- Oracle Cloud無料枠の現在の正確なスペック(古い「4コア24GB」記事に注意)
- アカウント登録〜インスタンス作成〜SSH接続の全手順(実際にハマった罠の回避つき)
- 秘密キーの正しい置き場所と、ゲームサーバー共通のポート開放の考え方(2段構え)
- 補章: 無料枠を広げたい人向けのPAYG化と、誤課金を構造的に防ぐクォータ+予算アラート
まず知っておくこと: 無料枠は2026年6月に半減された
昔の記事では「4 OCPU / 24GBが無料!」と書かれていますが、2026年6月15日ごろ、Oracleは公式ブログでの告知なしに無料枠を半減しました。 当初は5月末から始めようとしていて、そこでAlways Freeだけで頑張ろうとしていたのですが、この変更により適用可能なゲームが激減しました。
| 変更前 | 現在(2026年7月) | |
|---|---|---|
| Ampere A1 | 4 OCPU / 24GB | 2 OCPU / 12GB |
| ブロックストレージ | 200GB | 200GB(変更なし) |

それでも2 OCPU / 12GBあれば、Minecraft・Valheim・Core Keeperあたりは動かせます(当ブログで実測済み)。まずは無料のまま、この2コア12GBを確保しきるのが本記事の本編です。Palworldなど16GB級のゲームは現行のAlways Free上限を超えるため、無料常設を前提にしないでください。
全体の流れ
- Oracleアカウント登録
- VCN(ネットワーク)を先に作る
- ARMインスタンス作成(Ubuntu 24.04)
- SSH接続 — ここまでで準備完了
- ポート開放の基本(ゲームごとの具体ポートは各記事で)
補章: 無料枠を広げたい人向けの PAYG化+誤課金防止(クォータ・予算アラート)
Step 1. アカウント登録
Oracle Cloud Free Tierから登録します。メール認証・住所・電話番号に加え、本人確認用のクレジットカードまたは対応デビットカードを登録します。確認時に一時的な与信枠が確保される場合がありますが、PAYGへ明示的にアップグレードしない限り実請求にはなりません。MFAは画面の案内に従って設定してください。
注意点:
- ページが英語で表示されたら、**右上の国旗アイコン → 「日本」**を選ぶと日本語になります
- ホームリージョンは「Japan East (Tokyo)」を選ぶ。ホームリージョンは後から変更できません。国内フレンドと遊ぶなら東京一択です
- Oracle公式では、PIN必須・仮想・使い捨て・プリペイドカードは非対応です。カードブランド付きでクレジットカード同様に使える一部デビットカードは利用できます
Step 2. VCN(ネットワーク)を先に作る
インスタンスより先にネットワーク(VCN=仮想クラウド・ネットワーク)を作っておきます。順番を守るだけで、初心者が一番ハマる罠を回避できます。
手順は3クリックです。
① 左上のメニュー → ネットワーキング → 仮想クラウド・ネットワーク

② 「アクション」→「VCNウィザードの起動」
「VCNの作成」ボタンではなく、隣のアクションメニューからウィザードを選ぶのがポイントです(手動作成だとゲートウェイやルート表を自分で組むことになります)。

③ 「インターネット接続性を持つVCNの作成」を選んで、あとは全部デフォルトのまま作成
これで、インターネットから到達できるパブリック・サブネット、ゲートウェイ、ルート表がまとめて正しく作られます。

注意: ウィザードを使わず進めると「パブリックIP割当て不可」になる
インスタンス作成ウィザード内でVCNとサブネットを同時に新規作成しようとすると、サブネットがパブリック扱いにならずパブリックIPのトグルが灰色のままになることがあります。上記のとおりVCNを先に作って、インスタンス作成時は既存VCN+既存パブリックサブネットを選ぶだけにすれば通ります。
Step 3. ARMインスタンス作成
メニュー → コンピュート → インスタンス → インスタンスの作成:
| 設定 | 値 |
|---|---|
| イメージ | Canonical Ubuntu 24.04(aarch64) |
| シェイプ | VM.Standard.A1.Flex(Ampereタブ)2 OCPU / 12GB |
| ネットワーク | 既存VCN+既存パブリックサブネット(Step 2で作成済み) |
| パブリックIPv4 | 割当てる(Step 2のVCNを先に作ることが重要) |
| SSHキー | 自動生成 → 秘密キーを必ずダウンロード(後から再取得不可) |
| ブートボリューム | 50〜100GB(無料枠は合計200GBまで) |

ネットワークの欄では、Step 2で作った**既存VCN+「パブリック・サブネット」**を選びます。

ここでひとつ覚えておいてほしいことがあります。いま選んだとおり、サーバーは「パブリック(=外から入れる側)」のサブネットに住みます。あとで出てくるポート開放(Step 5)で開けるのが「パブリック側の門」なのは、これが理由です。
SSHキーは「キー・ペアを自動で生成」のまま、「秘密キーのダウンロード」を必ず押してください。画面にも書いてあるとおり、この画面を過ぎると二度とダウンロードできません。

⚠️ 秘密キーの取り扱い(重要) ファイル名は何に変えても構いませんが、ファイル自体と中身は絶対に他人に渡さない・公開しないでください。秘密キーはこのサーバーの「合鍵」そのもので、流出すると誰でもあなたのサーバーにログインできてしまいます。ブログのスクショ、GitHubへのうっかりアップ、チャットへの貼り付けが典型的な事故パターンです。人に見せていいのは同時に作られる
.pub(公開キー)の方だけです。
「セキュリティ」の項目(保護インスタンスなど)は、触らずデフォルトのままでOKです。

「Out of capacity」が出たら
東京リージョンのA1は争奪戦です。時間を変えてリトライしてください(早朝が通りやすい)。 私は朝5時半に接続して、なんとなくリトライしたら取得できました。 何度やっても弾かれる場合、PAYGは無料アカウントと容量制限が異なるため作成できることがありますが、確保を保証するものではありません。補章の注意事項を先に確認してください。
Step 4. SSH接続
まず「~」という記号を1つだけ覚えてください
この先のコマンドに出てくる ~(チルダ)は「自分のユーザーフォルダ」を指す記号です。Windowsなら C:\Users\あなたの名前、Macなら /Users/あなたの名前 のこと。どのOS・どのターミナルでも同じ意味で通じるので、自分のユーザー名を調べたり打ち込んだりする必要はありません。
パブリックIPの確認場所
接続先のパブリックIPは、メニュー → コンピュート → インスタンス → 一覧の「パブリックIP」列に表示されています(インスタンス名をクリックした詳細画面でも確認できます)。

何回もコピペするので、事前に専用のコマンドを作る準備
下の2つを入れると、この先のコマンドがユーザー毎対応できるように書き換わります。入力値は外部へ送信されません。「この端末に保存」を押した場合だけ、キーファイル名とIPをブラウザに保存します。
① キーを定位置 ~/.ssh へ移動する(初回だけ)
ダウンロードしたキーを「ダウンロード」フォルダに置きっぱなしにせず、 ~/.ssh フォルダに移すことを推奨します。
そんなもの、自分で保存するフォルダぐらいは決められるよ、という方は適切な箇所へ配置してください。
特にこだわりがない人は、フォルダ作成とキーの移動ごと以下のコピペでOKです。
Windows(PowerShell):
mkdir ~\.ssh -Force
Move-Item ~\Downloads\{{key}} ~\.ssh\
Mac:
mkdir -p ~/.ssh
mv ~/Downloads/{{key}} ~/.ssh/
chmod 600 ~/.ssh/{{key}}
② 接続する
こちらはWindowsもMacも共通です(PowerShell・コマンドプロンプト・Git Bash・Macのターミナル、どれでも動きます):
ssh -i ~/.ssh/{{key}} ubuntu@{{ip}}
初回は「本当に接続する?」という確認(fingerprint)が出るので yes と入力してください。
ubuntu@ のプロンプトが出れば成功。最初に一度だけ、パッケージを最新化しておきます:
sudo apt update && sudo apt upgrade -y
これでゲームサーバーを迎える準備は完了です。 あとは遊びたいゲームの記事に進むだけですが、その前にどのゲームでも必ず通る「ポート開放」の考え方だけ頭に入れておいてください。
Step 5. ポート開放の基本 — 2段構えを理解する
ゲームサーバーにフレンドが接続するには、ポートを2箇所で開ける必要があります。ここを1箇所だと思い込むのが、Oracle初心者の一番の詰みポイントです。
家に例えると、玄関と部屋の鍵です。どちらか片方だけ開けても、フレンドはあなたの部屋(ゲームサーバー)までたどり着けません。

① OCIセキュリティリスト(玄関の鍵=クラウド側の門番)
Step 3で確認したとおり、サーバーはパブリック・サブネットに住んでいます。なので開けるのはパブリック側の門です。
クリック経路: メニュー → ネットワーキング → 仮想クラウド・ネットワーク → 対象のVCN → セキュリティ・リスト → 「Default Security List」 → 「イングレス・ルールの追加」
フォームの入力はこの4項目だけです(残りは空欄・デフォルトのままでOK):
| 項目 | 値 |
|---|---|
| ソース・タイプ | CIDR |
| ソースCIDR | 0.0.0.0/0 |
| IPプロトコル | TCP または UDP(ゲームによる) |
| 宛先ポート範囲 | ゲームごとのポート番号(例: Minecraft Java版は25565) |
⚠️ ソースCIDRは自分のIPではなく
0.0.0.0/0(全許可)にします。 ここに自分のIPアドレスを入れると「自分しか接続できないサーバー」になり、フレンドが全員弾かれます(実際にこれで詰まりました)。「全世界に開いて大丈夫?」と不安になりますが、ゲーム側のパスワードやホワイトリストで守るのが正しい設計です。
注意: セキュリティ・リストは2つあります。パブリックサブネット用の「Default Security List」の方に追加してください。「プライベート・サブネット〜」の方に追加しても無意味です。
ゲームを増やしていくと、こんな風にルールが積み上がっていきます(SSHの22番は最初から入っています)。

② サーバー内 iptables(部屋の鍵=OS側の門番)
OCIのUbuntuイメージはデフォルトでiptablesが締まっています(ufwではありません)。
sudo iptables -I INPUT 1 -p udp --dport <ポート番号> -j ACCEPT
sudo netfilter-persistent save
-I INPUT 1(先頭挿入)がポイント。OCIのデフォルトルールには途中に全拒否(REJECT)があり、その後ろに追加(-A)しても効きません。
開けるべき具体的なポート番号とプロトコルはゲームごとに違うので、各ゲームの記事で案内します。
次のステップ: ゲームサーバーを立てる
SSHでログインできるUbuntuサーバーができました。ここから先はゲームごとの記事へどうぞ:
- Minecraft Java版サーバー — PC同士で遊ぶならこちら
- Minecraft統合版サーバー(BDS) — スマホ・Switch勢と遊ぶならこちら
- Javaサーバーに統合版から参加する(Geyser) — Java勢と統合版勢の混成グループ向け
- Valheimサーバー — box64を使用
Core Keeperの手順も、検証記事を順次公開します。
「Oracleの仕様変更に振り回されたくない」「もっと素直な環境がいい」という人は、有料ですがKAGOYA CLOUD VPS(日額28円〜)が手堅い選択肢です。
運用の心得: A1インスタンスは基本止めない
A1インスタンスは止めなくていいです。停止すると確保していた容量枠を手放してしまい、再起動時に「Out of capacity」で確保し直せなくなるリスクがあります。無料なので、止めても1円も節約になりません。
補章: PAYG化を検討する人へ — 課金条件と誤課金防止
ここから先は必須ではありません。「Out of capacityで何度も弾かれる」「有償リソースも選択肢に入れる」という人向けです。
PAYG(Pay As You Go)へのアップグレード
PAYG化しても、Always Free枠内で使う限り請求はゼロのままです。一方、現行の無料量は月1,500 OCPU時間・9,000 GB時間です。4 OCPU / 24GBを24時間運転すると約15.6日で月間無料量に達する計算なので、4 OCPU / 24GBの常時稼働を無料とは扱わないでください。
コンソールのバナーまたは「サブスクリプション情報」から「アカウントのアップグレード」(個人)を選び、課金可能なカードを登録します。
クレジットカードが拒否される
私の環境では楽天カード(Visa)が拒否され、エポスゴールドで通りました。ただし、これは個別の審査結果です。Oracle公式では、一般のクレジットカードと、クレジットカード同様に機能する一部デビットカードを受け付け、PIN必須・仮想・使い捨て・プリペイドカードは非対応と案内しています。

誤課金を構造的に防ぐ: クォータポリシー
PAYG化すると理論上は課金の可能性が出ます。自分の誤操作による事故を防ぐため、**「作れるリソース自体を無料枠に制限する」**ことを推奨します。
ガバナンスと管理 → 割当て制限ポリシー → 作成:
zero compute-core quotas in tenancy
zero compute-memory quotas in tenancy
set compute-core quota standard-a1-core-count to 2 in tenancy
set compute-core quota standard-a1-core-regional-count to 2 in tenancy
set compute-memory quota standard-a1-memory-count to 12 in tenancy
set compute-memory quota standard-a1-memory-regional-count to 12 in tenancy
set block-storage quota total-storage-gb to 200 in tenancy
これで「A1を2 OCPU/12GBまで・ストレージ200GBまで以外は何も作れないアカウント」になります。 うっかり課金対象のリソースを作ること自体が不可能になります。
-regional-count を忘れると自分が作れなくなるので両方記載してください
私はこれに躓いて延々と作れない状態になってました。
※この設定は新規作成できる量を制限するもので、既存リソースの請求を止める機能ではありません。適用後は、意図した上限になっているかコンソールで確認してください。
予算アラート
Billing → Budgets → 予算作成:
- 予算金額:
200(円) - しきい値: 1%(= ¥2で発報)
- 通知先メールを設定
実績額がしきい値を超えたことを知らせるソフトリミットです。Oracleの予算アラートは定期評価で、コストデータも最大24時間程度遅れることがあります。課金を即時停止する機能ではないため、クォータと併用してください。
本記事の手順・スクリーンショットは2026年7月時点のものです。Oracleの無料枠ポリシーは変更される可能性があるため、作成前に公式のFree Tierページも確認してください。